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2024年版 出る順 宅建士 合格テキスト【プロがレビュー】

2023-12-23

2024年版 出る順 宅建士 合格テキスト
2024年版 出る順 宅建士 合格テキスト

【出る順 宅建士 合格テキスト】って、理解のために多くのページを使っているって本当ですか?

詳しい説明や、イラストや図表も多く使われていますか?

あと、暗記しやすいように整理されていたり、法改正に対応していますか?

要するに、、このテキストを使って宅建に合格できますか?
具体的に教えて、詳しい人!


こういった疑問にお答えします。


本記事の内容

  • 元教材制作者の筆者が「出る順 宅建士 合格テキスト」3冊の教材評価を行っています。
    「①権利関係」テキスト,「②宅建業法」テキスト,「③法令上の制限・税・その他」テキスト
  • 独自の10個の評価項目を用いて徹底評価し、点数づけしています。
    (「出題頻度」「暗記箇所の整理」「論点の理解しやすさ」など)
  • 本記事を読むことで、変な教材に手を出して無駄な時間とお金を使うこともなくなります。


記事の信頼性

この記事を書いた人

CFP ®資格認定者 / 1級FP技能士 / 宅地建物取引士 / 第二種 情報処理技術者 / 日商簿記 等

教材制作会社に6年間 勤務
eラーニング・企業内研修用の「教材制作」「教材評価」の業務に携わる.

業務経験からFP・宅建の学習用教材を評価し,マニアックに解説しています.


この記事を読むことで、勉強開始までの「教材選択の時間ロス」をはぶき、効率よく学習を進めていだきたくことができます。


5分で読めるので、この教材の評価が知りたい方は、最後まで読んでみてください。


「出る順 宅建士 合格テキストの商品説明

  • 本テキストは、「基本テキスト」(教科書・参考書・テキスト)の位置づけです。
  • 学習対象者は、「初学者」から「リベンジ組」まで使えます。
  • 本テキストを読んだ第一印象は、「多くのページを使って丁寧に解説し」かつ「内容が正確」であるということです。



独学の方に朗報です。

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徹底レビュー

評判のいい「出る順 宅建士 合格テキスト」2024年度版【レビュー】

「2024年版 出る順 宅建士 合格テキスト」表紙
「2024年版 出る順 宅建士 合格テキスト」表紙

結論は、分野別に丁寧に,正確に理解したい方は「買い」です。

本テキストの「メリット」、「デメリット」、「評価点」を見ていきましょう。

▼メリット

  • 理解のために多くのページを使い、論点の趣旨・目的、イラスト・図表、条文、詳細な解説が盛り込まれています。
    (「①権利関係」「②宅建業法」「③法令上の制限・税・その他」の3分冊で構成されている)
  • 暗記箇所が整理されています。
  • 出題頻度の高い論点、過去に出題された箇所がアイコン表示でわかります。
  • 細かい論点の法改正にまで対応しており、改正情報がアイコン表示でわかります。

▼ややデメリット

本テキストは分野ごとにテキストが発売されていることで(「①権利」「②業法」「③法令上・税」)、ページ総数が「1163」ページと多いです。
※ただし「詳細説明型」のテキストでは、「理解するための文章」「理解するためのイラストや図表」を」入れると、ページ数はかさむのは必然的であり、ページ総数と理解のしやすさは相反関係にあります。

▼本テキストのタイプ

本「出る順 宅建士 合格テキスト」のタイプは、「詳細説明」型になります。
宅建の基本テキストの中でも「詳細説明型」の最たるテキストであり、分野別(①権利,②業法,③法令上・税)にテキストが販売されています)

「基本テキストのタイプ」の説明

▼「バランス」型テキスト
・イラストと図表、文章説明の「バランスがよい」基本テキストです。
・メリット:オールラウンド(下の中間)の特性をもったテキストです。初学者がはじめに用意したいテキストです。
・対象者:初学者、中級者 向け

▼「詳細説明」型テキスト
・文章説明が「詳細かつ正確性を重視」したテキストです。
・メリット:論点の詳しい説明があったり、法律系の試験の場合 正確な条文が記載されていたりします。
・対象者:中級者 向け

▼「要点・暗記重視」型テキスト
・出題頻度が高い「要点や用語のみ」を集めたテキストです。
 詳しい説明が必要な場合は、他の基本テキストから確認することが前提です。
・メリット:要点の「復習や暗記」が効率的にできます。
・対象者:復習向け、暗記向け、リベンジ組、時間がない人向け

(スマホの方は、ピンチイン・ピンチアウトにて拡大・縮小ができます)

基本テキストのタイプ「出る順 宅建士 合格テキスト」
基本テキストのタイプ「出る順 宅建士 合格テキスト」


▼評価点は「46点/50点」です

当サイトは、独自の「評価項目」を用いて、本テキストを「評価点」をつけて評価しています。
※40点以上は高得点です。

・「評価項目」は、10項目です。
・「評価点」は、「評価項目」ごとに5点、全体で50点満点(10項目×5点)としています。

評価項目と評価点

カテゴリ評価項目評価点
(各5点)
内容面
①出題頻度A,B,Cランクの内容が
 網羅されているか?(網羅性)
②暗記箇所が
 整理されているか?
③論点が理解しやすいか?
④法改正に対応しているか?
⑤テキストの途中に問題が
 挟まれていないか?
外観面
⑥ページ総数が多すぎないか?
⑦ページの縦分割がないか?
(1ページが縦1列か)
⑧理解を助けるイラストや図表が
 適度に含まれているか?
⑨カラフル過ぎないか?
差別化要素
⑩テキスト独自の差別化要素
合計点数
46/50

※評価項目ごとの評価点・評価基準は当サイトの独自のものです。
 定期的に調整していますので評価点が変わる場合がありますのでご注意ください。
※また、評価点は人によって感じ方が異なります。
 その場合は,点数よりも評価内容を参考になさってください。

 以下に、理由・根拠を詳しく解説します。


出る順 宅建士 合格テキスト 2024年度版【徹底レビュー】

理由・根拠を詳しく、以下の「評価項目」を用いて点数をつけて評価していきます。

  • 「評価項目」は、10項目です。
  • 「評価点」は、「評価項目」ごとに5点、全体で50点満点(10項目×5点)としています。


①出題頻度 A、B、Cランクの内容が網羅されているか?(網羅性)

すべて網羅しています。→ 5点

根拠

「科目」ごとの「出題頻度 A,B,Cランク」の網羅性は、下表のとおりです。

「出題頻度A,B,Cランク」の網羅性

科 目「出題頻度A,B,Cランク」の網羅性
宅建業法15/15論点の「A,B,Cランク」網羅
民 法23/24論点 の「A,B,Cランク」網羅
法令上の制限 6/6論点 の「A,B,Cランク」網羅
税・その他 9/10論点 の「A,B,Cランク」網羅
53/55論点 網羅

※宅建の試験範囲をもとに、12年分の過去問を確認し「出題頻度」のランク付けを行いました。

「出題頻度 A,B,Cランク」とは?

  • Aランクは、毎年出題される出題頻度が高い論点であり、必至で覚えなければならない知識です。
  • Bランクは、2年に1度程度のペースで出題される論点で、こちらも2番目に優先して覚えなければならない知識です。
  • Cランクは、5年に一度程度のペースで出題される論点で、余裕があったら覚えたい知識です。
  • Pランクは、10年に一度程度のペースで出題される論点で、あまり時間を割かないほうがいい知識です。

■詳細な「論点別」の「出題頻度 A,B,Cランク」の網羅性は、下表になります。

(※スマホの方は、ピンチイン・ピンチアウトにて、拡大・縮小ができます)

論 点出題頻度
(A:高,B:中,C:低)
出る順 宅建士
合格テキスト
2024年度版 LEC
網羅性(〇/△/なし)
■宅建業法
1.宅地建物取引業
A
2.免許
A
3.宅地建物取引士
A
4.事務所の設置
A
5.営業保証金
A
6.保証協会
A
7.広告や契約の注意事項
A
8.業務における諸規定
A
9.媒介代理契約の規制
A
10.35条 重要事項説明
A
11.37条書面(契約書)
A
12.自ら売主の制限
 (8種規制)
A
13.報酬額の規制
A
14.監督処分と罰則
A
(罰則はC)
15.住宅瑕疵担保履行法
A
■民法(権利関係)
1.制限行為能力者
B
(被保佐人,
被補助人はC)
2.意思表示
A
(心裡留保はC)
3.代理
A
(表見代理はP)
4.時効
B
5.物権変動・対抗問題
A
6.相隣関係
P
7.共有
P
8.抵当権
A
(根抵当権はP)
9.その他の担保権
P
(地役権,留置権,
 先取特権,質権はP)

(地役権P407,
留置権P412,
先取特権なしP413,
質権P414)
10.保証・連帯保証
C
11.連帯債務
C
12.債権譲渡
C
13.債務不履行
A
14.弁済相殺
P
15.契約不適合責任
A
16.賃貸借契約
A
(賃借権の譲渡・転貸)
17.借地借家法
 (借地権)
A
(裁判所の許可はC,
建物の再築はP)
18.借地借家法
 (借家権)
A
(借地上の建物の
 賃借権はC)
19.その他の契約
C
(使用貸借,
 請負,贈与)

(使用貸借P422,
請負P379,
委任P385,
贈与P420)
20.事務管理
Cなし
(頻度[低]で問題なし)
21.不法行為
B
(共同不法行為はC)
22.相続
A
(欠格・廃除はC,
 遺留分はC)
23.不動産登記法
A
(合筆・分筆はP)
24.区分所有法
A
■法令上の制限
1.都市計画法
A
(地区計画はC)
2.建築基準法
A
3.国土利用計画法
A
(事前届け出はP)
4.農地法
A
5.土地区画整理法
A
6.盛土規制法
A
(監督処分,
 災害防止措置はC)
■税・その他
1.不動産取得税
 固定資産税
A
2.所得税
C
3.印紙税
A
4.登録免許税
A
5.相続税贈与税
P
(相続税はなし。
頻度[低]で問題なし)
6.不動産鑑定評価基準
A
7.地価公示法
A
8.住宅金融支援機構法
A
9.景品表示法
 公正競争規約
A
10.土地建物
A
論点数 計
5553
(〇は1、△は0.5
小数点は切上で集計)
評価点:
コメント:
5点/5点中
A,B,Cランクを網羅

本テキストは、ほぼすべての論点が載っていますので、辞書的な使い方もできますし、過去問などから調べてテキストに書き込む手間も減らせます。


②暗記箇所が整理されているか?

整理されています。→ 5点

理由:

  • 「似たような論点を比較しながらまとめて」おり暗記しやすい
  • 「表形式で内容を分けて整理して」おり暗記しやすい

根拠:

■①「似たような論点を比較しながらまとめて」おり暗記しやすい

▼権利関係「意思表示のポイント」(P37)

意思表示は似た論点で混乱してしまいがちですが、比較しながらまとめており暗記しやすいです。

権利関係「意思表示のポイント」(P37)
権利関係「意思表示のポイント」(P37)

▼宅建業法「変更の届出」と「変更の登録」の比較(P95)

宅建業法の「変更の届出」と「変更の登録」は似た論点の代表格ですが、しっかり比較しながらまとめられています。

宅建業法「変更の届出」と「変更の登録」の比較(P95)
宅建業法「変更の届出」と「変更の登録」の比較(P95)

■②「表形式で内容を分けて整理して」おり暗記しやすい

▼法令上の制限「補助的地域地区」(P46)にて

補助的地域地区を表形式で分けて説明しており整理して暗記しやすいです。
また「目的」が前半に「都市計画に定める内容」が後半に書かれています。他のテキストでは、「目的」と「都市計画に定める内容」が 一つの文章の中で説明されているものもあります。

法令上の制限「補助的地域地区」(P46)
法令上の制限「補助的地域地区」(P46)

▼法令上の制限「建築確認の要否」(P180)

建築基準法の「建築確認の要否」は、文章で説明されても整理しずらいです。
表形式で「特殊建築物」「大規模建築物」「都市計画区域等」「防火地域等」を分けて説明しており、整理して暗記しやすいです。

法令上の制限「建築確認の要否」(P180)
法令上の制限「建築確認の要否」(P180)

暗記は、次のように整理されていると覚えやすくなります。
・「似たような論点を比較しながら まとめている」こと
・「表形式に整理されている」こと


③論点が理解しやすいか?

論点が理解しやすいです。→ 5点

理由:

権利関係(民法)の「無権代理」(代理の中の重要論点)では、「①定義」「②類型」「③シンプルな説明」「④合格ステップ」で横断整理することで、論点が理解しやすいです。

根拠:

■検証1:権利関係「無権代理」「相手方を保護するための制度」(P91,92,95)を例に検証してみます。

  • 定義
    「無権代理人と契約した際に、相手方を保護する制度がある」ことを説明しています。
  • 類型
    相手方の保護の類型が4つあることがわかります。
    [1]催告権
    [2]取消権
    [3]無権代理人への責任追及
    ([4]表見代理は、割愛)
  • シンプルな説明
    [1]催告権:相手方は催告することができ、本人の確答がない場合は追認拒絶とみなされる(相手方が悪意でも可)
    [2]取消権:契約の取消が主張できる(相手方が善意のときのみ可)
    [3]無権代理人への責任追及:無権代理人に対して履行または損害賠償ができる(相手方が善意無過失のときのみ可)
  • 「合格ステップ」で横断整理
    無権代理と相手方の保護について、相手方の要件と内容を「合格ステップ」にて横断整理されており、理解しやすく、また暗記もしやすくなっています。

1.定義
2.類型
3.シンプルな説明

権利関係「無権代理」「相手方を保護するための制度」(P91,92)
権利関係「無権代理」「相手方を保護するための制度」(P91,92)

4.「合格ステップ」で横断整理

権利関係「無権代理」「相手方を保護するための制度」(P95)
権利関係「無権代理」「相手方を保護するための制度」(P95)

民法の特に「代理」「錯誤(意思表示)」「時効」「物権変動(対抗問題)」では、理論的な概念が積み重なっており理解に時間がかかりますが、このテキストの「代理」では「①定義」「②類型」「③シンプルな説明」「④合格ステップにて横断整理」の順で説明を行っており論点が理解しやすいです。

理解のしやすさは、全体の概略(「①定義」「②類型」)を読んだうえで、各論の解説(類型ごとの「③シンプルな説明」)に進み、最後に横断整理する(「④合格ステップ」)ことで、論点が理解しやすくなります。

■検証2:法令上の制限「開発許可を受けた開発区域内における建築規制」(P87)

「工事完了の公告」の前後で変わる建築規制を、分けて図解で説明しており、論点が理解しやすいです。

法令上の制限「開発許可を受けた開発区域内における建築規制」(P87)
法令上の制限「開発許可を受けた開発区域内における建築規制」(P87)


④法改正に対応しているか?

細かい論点の法改正にまで対応しています。→ 5点

根拠:

以下のように、法改正に対応しています。

■宅建業法の法改正

▼1.不動産取引の電子化(「37条書面」 交付 電子的方法(P197))

次の書面を交付する際、電磁的記録による交付が可能となりました。

  • 重要事項説明書(35条書面)
  • 売買・交換・賃貸契約締結時の交付書面(37条書面)
  • 媒介契約締結時の交付書面
  • レインズ登録時の交付書面

売買・交換・賃貸契約締結時の交付書面(37条書面)

宅建業法「37条書面とは」(P197)
宅建業法「37条書面とは」(P197)

▼2.住宅瑕疵担保履行法の情報提供(P257)

自ら売主となり新築住宅を販売した宅建業者は「供託」または「保険」の資力確保措置を講ずる義務があります。
それぞれに必要な 次の書類は電子交付が可能となっています。

  • 供託所の所在地等を記載した書面
  • 保険証券またはこれに代わる書面
    宅建業法「住宅瑕疵担保履行法」(P257)
    宅建業法「住宅瑕疵担保履行法」(P257)

■権利関係の法改正

▼1.共有 「変更行為(管理行為)」(P245)

変更行為は共有者全員の同意が必要ですが、共有物の形状または効用の著しい変更を伴わない変更行為(軽微変更)は、共有者の持分価格の過半数で決することができることになりました。

権利関係「3.共有物の管理等」(P245)
権利関係「3.共有物の管理等」(P245)

▼2.借地借家法 「定期建物賃貸借契約」(P347)

次の書面を交付する際、電磁的記録による交付が可能となりました。

  • 一般定期借地契約
  • 取壊し予定の建物の賃貸借契約
  • 定期建物賃貸借契約
権利関係「定期建物賃貸借」(P347)
権利関係「定期建物賃貸借」(P347)

法令上の制限の法改正

▼1.盛土規制法 「盛土規制法」(P261)

旧法の「宅地造成規正法」から、「盛土規制法」に改正となりました。
旧法と同様に災害防止を目的とした法律です。

法令上の制限 「盛土規制法の目的」(P261)
法令上の制限 「盛土規制法の目的」(P261)

ほかにもありますが、法改正に対応しています。
法改正は試験で毎年狙われますので、対応していると安心感があります。

ほかのテキストよりも、特に法改正の対応に力を入れていることが確認できました。


⑤テキストの途中に問題が挟まれていないか?

テキストの途中に問題が挟まれています。→ 4点
本テキストは、途中に「1問1答」の問題が含まれているため、4点としました。

※ただし、受験生の学習スタイルに合わせて、 事後テストの力試しの置づけとして解きたい場合は、デメリットにならないです。

根拠:

以下のイメージをご確認ください。

③法令上の制限「建築確認の要否」(P182)
③法令上の制限「建築確認の要否」(P182)

テキストを学習しているときと、問題を解くときは、頭の使う部分が異なるため、テキストの途中に問題が挟まれていると、インプットからアウトプットの切り替えが必要になり「理解・暗記の学習ペース」が乱されてしまう。(参考、テキストによっては、本文の途中に「1問1答」や「複数問」の問題が含まれているものがある)
できれば、テキストと演習問題は、本自体を物理的に分けて学習したい。

参考:なぜ、基本テキストに演習問題が入っているの?
・競争の原理から、教材制作各社とも他社より付加価値を出したい事情から、消費者からみて「基本テキストの中に演習問題も含まれていることはお得感」があり、その結果、基本テキスト+演習問題の構成になっているものが多くなっています。初学者・中級者向けの教材によくあります。
・上級者向けの教材では、説明文だけを掲載したテキストや、演習問題だけを掲載した問題集など、インプットとアウトプットの目的別に分かれています。


⑥ページ総数が多すぎないか?

やや多いです。→ 

根拠

科目と実質のページ数は、下表のとおりです。

科 目実質ページ数
「1.権利関係」テキスト11~430=420
「2.宅建業法」テキスト11~303=293
「3.法令上の制限
 税・その他」テキスト
法令上の制限21~287=263
税・その他
287~473=187
計 1163 ページ

・ここの評価項目は、ページ総数に着目した評価項目ですので3点とさせていただきました。
・宅建の標準的なテキストは「600ページ」程度ですが、本テキストは分野ごとにテキストが発売されていることで「1163」ページあります(「①権利」「②業法」「③法令上・税」)。本テキストは、宅建の基本テキストの中でも「詳細説明型」の最たるテキストです。

※ただし、わかりやすいテキストとは「論点の詳しい説明」「法律の正確な条文」(一部「マイナー論点」含む)が載っており、特に民法の理解を進めるうえでは効果的でメリットになります(急がば回れ)。
 「バランス型」(オールインワンタイプ)のテキストは、論点の説明が不十分なものもあり、理解できないまま暗記ゴリ押しに頼ることがあります。
 ページ総数と理解のしやすさ(詳しい説明)は、メリット・デメリットが相反関係(トレードオフ)にあることをご理解ください。

参考:ページ総数は、なぜ変わるの?
・繰り返し学習向け、要点の暗記重視のテキストだとページ数が少なくなる傾向があります。
・反対に、初学者向けにイラストや図表を多く入れたり、中級・上級者向けに正確な文章を記載しようとするとテキストのページ数は多くなります。
 ページ数が少ないことは、イラストや図表・正確な文章などを削っており、他のメリットとのトレードオフの関係にあります。


⑦ページの縦分割がないか(1ページが縦1列か)?

1ページのレイアウトが縦2列のに分割されているページがあります(ただし最小限です)。→ 4点
下のイメージのように、1ページが分割されているため4点としました。

※ただし、分割されているページ左側に「プラスアルファ」「講師からのアドバイス」欄があり、補足事項やアドバイスを受けたい受験生の方はデメリットになりません。

根拠

ページの縦分割がある

③法令上の制限「(3)準防火地域内における建築制限」(P154)
③法令上の制限「(3)準防火地域内における建築制限」(P154)

人は、上から下へ、左から右へ 文字を読むため、1ページが縦1列のレイアウトだと読みやすいです。
テキストによっては、1ページが縦2列、縦3列に分割されているものもあり、学習の集中が乱されてしまいます。
できれば、ページの縦分割がないほうが読みやすいです。


⑧理解を助けるイラストや図表が適度に含まれているか?

「イラスト」や「図表」が適度に含まれています。→ 5点

根拠

以下のように、理解を助ける「イラスト」や「図表」が適度に含まれています。

▼イラスト

  • 権利関係「法廷地上権・一括競売」(P237)
  • 権利関係「建物区分所有法の全体構造」(P283)

権利関係「法廷地上権・一括競売

権利関係「法廷地上権」一括競売(P237)
権利関係「法廷地上権・一括競売」(P237)

権利関係「建物区分所有法の全体構造」

権利関係「建物区分所有法の全体構造」(P283)
権利関係「建物区分所有法の全体構造」(P283)

▼図表

  • 宅建業法 事務所に必要なもの「5点セット」(P30)
  • 宅建業法「廃業等の届出」(P58)

宅建業法 事務所に必要なもの「5点セット

宅建業法「事務所に必要なもの」5点セット(P30)
宅建業法 事務所に必要なもの「5点セット」(P30)

宅建業法「廃業等の届出」

宅建業法「廃業等の届出」(P58)
宅建業法「廃業等の届出」(P58)

「イラスト」と「図表」を用いて、イメージや概念から論点に入ることにより理解しやすくなるとともに、文字情報で論点入るよりも頭の負荷が軽減され学習が継続しやすくなります。


⑨カラフル過ぎないか?

配色がシンプルで読みやすいです。→ 5点

根拠:

  • 文字の色:黒、赤の2色
  • イラストの色:黒、赤の2系色

▼文字・イラストともに:黒、赤の2色

権利関係「時効の放棄・援用」(P70)にて。

権利関係「時効の放棄・援用」(P70)
権利関係「時効の放棄・援用」(P70)

このテキストは、配色がシンプルで読みやすいです。

・初学者向けのテキストは、飽きさせない工夫から全ページカラーのものが多いです。カラフル過ぎると目が疲れてしまうデメリットもあります。 
・また、すべてがカラフルだと、どこが大事な部分かわからなくなるデメリットもあり、強調表示のバランスが大事になります。

参考:初学者・中級者・上級者向けのテキストの配色は?
・「初学者向け」のテキストは、飽きさせない工夫から全ページカラーのものが多いです。
・「中級者向け」のテキストは、2色刷りで黒と朱色(赤系)のみで強調表現を分けているものもあります。
・受験を多く経験している「上級者向け」のテキストになると、文字色は1色で太字や下線(アンダーライン)で強調表現しているテキストや、まったく太字や下線もないテキストもあります。
 なお、「上級者」は、重要な部分が自分で分かるため、自ら下線を引いたり、メモ書きを入れるなどカスタマイズすることから、極めてシンプルなテキストを好みます。(本試験の直前には,自分だけのテキストができあがっているイメージです)


⑩テキスト独自の差別化要素

  • 分野ごとに「全体構造」、章ごとに「何を学ぶか?どこに着目するか?」の説明があります
    ・分野を学習するにあたり、分野の全体像をつかむことができます。
    ・この章では「何を学習するか」の学習目標が提示されており、学習目的をもって学習ができます。
  • 「重要条文」が載っています
    論点の基となる「重要条文」を確認することで、さらに理解が深くなります。
  • 「重要度ランク」「過去の出題問題数」の表示があります
    「重要度ランク」や「過去の出題問題数」の表示がありますので、出題頻度が低い論点はスルーし、頻出な論点を重点的に学習することが可能です。
  • 「ケーススタディ」にて問題提起を行っています(前述「3.論点が理解しやすいか」にて解説済み)
    「ケーススタディ」という問題提起によって、論点の動機づけを行っています。
  • ラクしておぼえるL式暗記法」というゴロ合わせがあります
    覚えにくい用語をゴロ合わせて、ラクに暗記することができます。
     → 5点/5点

根拠

■1.分野ごとに「全体構造」、章ごとに「何を学ぶか?どこに着目するか?」の説明があります

・分野を学習するにあたり「全体構造」で分野の全体像をつかむことができます。
次のイメージでは「法令上の制限の全体像」にて、「1.購入する段階」「2.造成する段階」「3.建築する段階」などと全体の説明があります。

「法令上の制限の全体構造」(P8,9)
「法令上の制限の全体構造」(P8,9)

・この章では「何を学習するか」の学習目標が提示されており、学習目的をもって学習ができます。(教材は何を教えるかが大事であり、このテキストは教材の基礎基本がしっかりしています)

法令上の制限「何を学ぶか?どこに着目するか?」(P22)
法令上の制限「何を学ぶか?どこに着目するか?」(P22)

■2.「重要条文」が載っています

次の「債権の消滅時効」は2020年に民法の大改正があったなかでも特に重要な条文です。

権利関係「債権等の消滅時効」(P63)
権利関係「債権等の消滅時効」(P63)

次の「代理行為の要件および効果」も重要な条文です。

権利関係「代理の要件」(P76)
権利関係「代理の要件」(P76)

■3.「重要度ランク」「過去の出題問題数」の表示があります
出題頻度が低い論点はスルーし、頻出な論点を重点的に学習することが可能です。

■4.「ケーススタディ」にて問題提起を行っています
「問題提起」を行ってから「解説」に入ることで、理解しやすくなっています。

契約の成立「詐欺」(P17)
契約の成立「詐欺」(P17)

■5.「ラクしておぼえるL式暗記法」というゴロ合わせがあります

次のように、建築基準法の「防火地域」「準防火地域」の規模は覚えずらいですが、ゴロ合わせを使うことで攻略しやすくなっています。

法令上の制限「建築基準法」(P157)
法令上の制限「建築基準法」(P157)


まとめ

▼メリット

  • 理解のために多くのページを使い、論点の趣旨・目的、イラスト・図表、条文、詳細な解説が盛り込まれています。
    「①権利関係」「②宅建業法」「③法令上の制限・税・その他」の3分冊で構成されています。「詳細説明」型の最たるテキスト)
  • 暗記箇所が整理されています。
  • 出題頻度の高い論点、過去に出題された箇所がアイコン表示でわかります。
  • 細かい論点の法改正にまで対応しており、改正情報がアイコン表示でわかります。

▼ややデメリット

本テキストは分野ごとにテキストが発売されていることで(「①権利」「②業法」「③法令上・税」)、ページ総数が「1163」ページと多いです。
※ただし「詳細説明型」のテキストでは、「理解するための文章」「理解するためのイラストや図表」を」入れると、ページ数はかさむのは必然的であり、ページ総数と理解のしやすさは相反関係にあります。

▼まとめ

  • 本テキストは、理解させることに重点をおき、分野別に贅沢に多くのページを使って丁寧に解説しているところが特徴です。
  • 評価点は「46点/50点」であり、結論は、分野別に論点を丁寧に、正確に理解したい方は「買い」です。
  • 評価したところ、学習対象者は「中級者」寄りですが、「初級者」から「リベンジ組」まで問題なく使えます。

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