CFP不動産の勉強を始めたけど、似たような制度(特例や控除)が多くて混乱しています。
試験では、特例や控除からの出題が数問あるみたいですけど、ぜんぶ覚えられる自信がないです。
普段 聞きなれない用語があったり、建物の購入時の制度や,買い換え時の制度があったり、わかりにくいです。
特例の種類を比較したり、大事なポイントをまとめることはできませんか? 教えてください、詳しい人!
こういった疑問にお答します。
本記事の内容
- CFP不動産の対策として、似たような制度で混乱しやすい居住用財産に関する「特例と控除」を比較しながら整理しています。
- ※私が実際に勉強に使った「暗記表」を掲載しています。
- CFPの不動産は、半分が計算問題、半分が文章問題ですので、ここに記載した特例を制すれば、文章問題の得点源になりますので、ぜひご確認ください。
- この記事を読むことで、不動産の「特例と控除」について苦手意識がなくなり、比較しながら覚えていくことで得点源になります。
記事の信頼性
- 「CFP ®」資格認定者の私が実際に勉強に使った居住用財産に関する「特例と控除」の「暗記表」を公開しています。
- 私は金融とは関係ないまったくの別業種で知識ゼロからの挑戦であったため、参考になると考えています。
受験者さんへのメッセージ
・CFP不動産の勉強を始めた方、または、居住用財産に関する「特例と控除」でつまづいており、その対策を探しているという方に向けて書いています。
・勉強を進めると似たような論点が出てきますが、一つひとつ覚えようとしても効率が悪く、比較しながら一度に覚えることが重要です。
7分で読めますので、最後まで読んでみてください。
もくじ
CFP不動産の対策【特例と控除】の整理
CFPの不動産の「文章問題」には、借地借家法、民法の賃貸借契約、不動産取得税・固定資産税、土地・建物、そして居住用財産の譲渡や買換えをした場合に控除される「特例と控除」の問題があります。
「文章問題」で得点を稼ぎ、「定番計算問題」ができていれば合格できます。
以下では、似たような概念で覚えにくい居住用財産に関する「特例と控除」を比較しながらまとめています。
①「住宅借入控除」「直系からの贈与」
「住宅借入金控除」(住宅ローン控除)と、関連して出題される「直系尊属からの住宅取得資金の贈与」について比較しながらまとめました。また、似た制度の「贈与税の配偶者控除(2000万円)」もまぎらわしいのでここで整理しましょう。
贈与の場合に、「いつまでに居住開始すればよいか」覚えにくいため、ゴロで覚えました。
No. | 特例名 | 合計所得金額 | 居住開始 | 要件 |
---|---|---|---|---|
1 | 住宅借入金特別控除 | 3000万円以下 | 6か月以内に居住 (新築・増改築後) | ・中古は築20年以内, 耐火は25年以内 or 耐震基準に適合. ・親族への譲渡は特例の対象外 ・居住用床面積50㎡以上、 戸建住宅は壁芯面積 (区分所有は内法面積). ・居住前2年,後3年の6年間に [譲渡の特例]*を適用していない. 後4年目以降は控除できる. *譲渡の特例: [軽]減税率、 [3]000万円特別控除、 [買]換え特例 は併用できない. (ゴロ:けい さん かい) |
2 | 直系尊属からの 住宅取得資金の贈与 | 2000万円以下 | 贈与の翌年3/15 までに居住 (ゴロ:ゾウ よく さん いちご きょ) | ※資金のみ対象であり、 家の贈与は対象外. |
3 | 贈与税の配偶者控除 (2000万円) | 贈与の翌年3/15 までに居住 (ゴロ:ゾウ よく さん いちご きょ) | ・婚姻期間が20年以上 ※同一の配偶者から1回のみ. |
住宅借入金特別控除の控除額の違い
住宅借入金特別控除の控除額は、次の場合で異なりますので注意しましょう。
- 新築住宅の場合
- 既存住宅の場合
2022年〜2023年(2023年末までに入居した場合)
No. | 住宅の種類 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | 最大控除額 |
---|---|---|---|---|---|
新築住宅 | 長期優良住宅・低炭素住宅 | 5000万円以下 | 0.7% | 13年 | 35万x13年=455万 |
その他の住宅 (省エネ基準以外) | 3000万円以下 | 21万円x13年=273万円 | |||
既存住宅 | 長期優良住宅・低炭素住宅 | 3000万円以下 | 10年 | 21万円x10年=210万円 | |
その他の住宅 (省エネ基準以外) | 2000万円以下 | 14万円x10年=140万円 |
②「特別控除」、「軽減税率」
次に、居住用財産である土地や建物を譲渡した場合に控除される「特別控除」2つ(下表の①,②)と、「特別控除」①とセットで出題される「軽減税率」について、比較しながらまとめました。
贈与の場合、「いつまでに居住開始すればよいか」覚えにくいためゴロで覚えましょう
No. | 特例名 | 合計所得金額 | 譲渡期限 | 所有期間 | 要件 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 居住用財産の 譲渡3000万円 「特別控除」① | 所得要件なし | 居住しなくなった 3年後の年末 までに譲渡 | 所有期間の 要件なし | ・期限内の用途は問わない ・家屋を取り壊した場合, 1年以内に譲渡すること. また敷地を貸し駐車場に 供しないこと. ・親族への譲渡は 特例の対象外 ・①と②は併用できる. ・後述3.[1.居住用の 買換特例]と併用できる. |
2 | 相続した 空き家の 譲渡3000万円 「特別控除」② | 相続の日 (居住しなくなった) 3年後の年末 までに譲渡 | ・空き家は1981.5.31以前に 建築された家屋であること. ※建物を除却しない場合, 一定の耐震基準に 適合すること. ・譲渡対価の額が1億以下 ・相続の開始の直前まで 老人ホームに入所など. ・「相続税の取得費加算の 特例」と併用できない. ・①と②は併用できる. ・後述3.[1.居住用の 買換特例]と併用できる. |
||
3 | 「軽減税率」 ※単独でも可 | 居住しなくなった 3年後の年末 までに譲渡 | 10年超 (譲渡した年 1/1で判定) ※土地と建物 いずれかが 10年以下は 軽減できない | ・家屋を取り壊した場合、 1年以内に譲渡すること. (敷地を貸し駐車場に 供しないこと) ・「特別控除①」と併用できる. ・後述3.[1.居住用の買換特例] と併用できない. |
③「買換え特例」、「損益通算・繰越控除」
そして、「買換え特例」と、「損益通算・繰越控除」です。
- 「買換え特例」は、一定期間内に買換え・交換にて居住用財産を取得した場合に譲渡益はなかったものにする特例です。(100%課税繰り延べ)
- 「損益通算・繰越控除」は、居住用財産の譲渡損失について、他の所得との損益通算や繰越控除が認められています。
こちらも比較しながらまとめています。
No. | 特例名 | 合計所得金額 | 取得期限 | 所有期間 | 要件 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 居住用財産の 「買換え特例」 | 所得要件なし | 譲渡年の 前年1.1 ~翌年末 までに取得 | 10年超 (連続でなく通算) (譲渡した 年1/1での 所有期間) | ・譲渡資産: 譲渡対価の額が1億以下 ・買換資産: 非耐火の中古で築25年以内 or 耐震基準に適合 ・買換資産:50㎡以上 ・譲渡の翌年末までに 居住する (取得期限=居住期限) ・100%課税繰り延べ |
2 | 立体「買換え特例」 | 譲渡年 ~翌年末 までに取得 | 所有期間の 制限なし | ・従前の用途は制限なし (不動産業の棚卸資産はNG) ・地上階3以上の耐火・ 準耐火建築物で, もっぱら1/2が居住用 ・取得から1年以内に 事業用・居住用 (親族含む)に 供すること ・譲渡した者、 譲渡を受けた者が 建築した場合に適用あり ・100%課税繰り延べ |
|
3 | 事業用資産の 「買換え特例」 | 所得要件なし | ・80%課税繰り延べ | ||
4 | 固定資産の交換 | ・100%課税繰り延べ ・譲渡資産と 取得資産の 差額が20%以内 |
|||
5 | 買換えた場合の 「損益通算 繰越控除」① | 3000万円以下の 年分のみ (譲渡年は制限なし) | 5年超 (譲渡した 年1/1での 所有期間) | ||
6 | 特定居住財産の 「損益通算 繰越控除」② | 同上 | 同上 |
まとめ
CFPの不動産の「文章問題」のなかで混乱してしまいがちな、居住用財産の譲渡や買換えに関する「特例と控除」の論点を整理してきました。
- 「住宅借入金控除」(住宅ローン控除)と「直系尊属からの住宅取得資金の贈与」
- 居住用財産である土地や建物を譲渡した場合に控除される「特別控除」と「軽減税率」
- 「買換え特例」と「損益通算・繰越控除」
ほかの文章問題である、借地借家法、民法の賃貸借契約、不動産取得税・固定資産税、土地・建物は比較的 覚えやすいですので、まずは前述の居住用財産に関する「特例と控除」を比較しながらまとめて覚えてしまいましょう。
これで、不動産の「文章問題」は攻略できます。
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