「1級FPの実技試験を受けたいのですが、情報が少なくて、どのように勉強すればいいのかわからないです。」
「何を勉強したらいいのか、いつから勉強開始したらいいのか、そもそも難易度はどれくらいなのでしょうか? それと、1級FPの取得のメリットも知りたいです。」
「あと、具体的な受験対策も教えてください。詳しい人!」
こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
- 1級FP「実技試験」の受験生を対象に、試験の難易度、勉強期間・時間、使う教材、勉強の心構えを実体験から解説します。
- 記事の後半にはモチベーションアップに、試験当日の会場の雰囲気、1級FPの取得者数や知識レベル、取得メリットについて解説しています。
なお、1級FPの実技試験の受験資格は、「1級の学科試験の合格者」と「CFP試験の全6課目の合格者」が受験できますが、CFP試験に全課目合格した方も ぜひ「1級の実技試験も受けて1級FPを取得していただきたい」というのが私の考えです。
理由は、次の2つです。
- 「全課目の知識を効率よく総復習できる」から
CFP試験から時間が経ち、知識に偏りがある状態になっているかと思いますが、1級FPの実技試験を受験することで、自学より試験勉強から知識を復元するほうが はるかに効率がよいです(経験より)。 - 1級FPを取得すると得られるメリットが大きいから
(1級FPの取得のメリットは、記事の後半にて解説いたします)
本記事の信頼性
- この記事を書いている私は、2022年7月にCFP試験に「全課目合格」し、2022年9月に「1級FPの実技試験」を受験しています。
- 「1級FP技能士」試験の合格者です。
この記事を読むことで、1級FPの実技試験の「疑問点」が解消され「受験対策」も理解できますから、勉強開始までの時間ロスをはぶき、効率よく学習を進めていだきたくことができます。
多くの方が、1級FPの肩書が欲しくて、ここまで長い努力を続けてきたはずです。
7分で読めますので、1級FPの実技試験の全体像が知りたい方は、最後まで読んでみてください。
もくじ
- 1 「1級FP 実技試験」の難易度は?
- 2 「1級FP 実技試験」の問題数、合格基準、試験時間、合格発表は?
- 3 合格に必要な勉強期間は、余裕をみて「1か月」必要
- 4 勉強は「緑本」でOK
- 5 「緑本」を5周するのに必要な日数
- 6 「緑本」の課目別の問題数と出題傾向
- 7 不安なら「2級の基本テキスト」と「CFP精選過去問題集」を補助的に用意する
- 8 1級FP「論述式問題」の対策(自己採点で満点でした)
- 9 試験当日の問題を解くおすすめの順番
- 10 試験当日の会場の雰囲気・所感
- 11 FPの級別の取得者数、級別の知識レベルの違い
- 12 1級FPの取得のメリット
- 13 関連記事
- 14 購入リンク:「緑本」(1級FP「実技試験」過去問題集)
「1級FP 実技試験」の難易度は?
最初に結論を書きますと、難易度は「2級FP程度ですが、何も勉強しないと落ちます」。。
ただし、「勉強すれば ほぼ確実に合格」できます。
具体的に「試験の難易度」や「試験勉強の心構え」を解説いたします。
試験の難易度
試験には、「計算問題」「文章問題」「論述式問題」があり、それぞれの難易度は以下になります。
- 「計算問題」の難易度は、2級FP以上、CFP未満です。
2級FP以上とは、2級FPレベルの問題と、2級FPより難しいがCFPには劣る問題も出題されるという意味です。
ex.年金を例にすると、
厚生年金に合わせて「加給年金額」や「中高齢寡婦加算」は出題されますが、
つっこんだ「振替加算」や「経過的寡婦加算」までは出題されない。といった感じです。 - 「文章問題」の難易度は、2級程度です。
制度や法令の表面的な論点や、基礎的な用語や年数・数値を問う問題がほとんどです。
ex.健康保険の任意継続の加入条件を例にすると、
退職以前に健康保険に「2か月以上」の加入期間があり、
退職後「20日以内」に申請する必要があり、
「2年間」任意継続できる。といった感じです。 - 「論述式問題」の難易度は、暗記していないと記述できないです。
法令に関して過去問から出題されることが多く、
「法令の定義」と「FPが留意すること」を記述することなります。
2級FPや、CFPの試験にはなかった形式です。(対策を本記事にて解説しています)
※「計算問題」や「文章問題」の過去問題で初見の問題はありません。
2級FP、1級FP、CFPの勉強の中で、解き方を1度は経験しています。
※試験当日には、新作の法改正の問題もありますが、2、3問程度です。
試験勉強の心構え
何も勉強せずに実技試験を受けると落ちますが、
過去問題集 通称「緑本」を5周すれば、ほぼ確実に合格できます。
「緑本」の活用は、後述にて説明いたします。
落ちると、次のロスがあります。
- 1年間待たなければ再受験できない「時間的ロス」
- 受験料2万円の「金銭的ロス」
ロスを発生させないために、必ず1回で仕留めましょう!
「1級FP 実技試験」の問題数、合格基準、試験時間、合格発表は?
問題数
問題数は、全20問ですが、「解答欄は40個」+「論述式問題が1題」の構成にて出題されます。
「解答欄が40個」という意味は、問によっては選択肢ごとに配点をもらえる問題があるということです。
※全20問(解答欄は40個+論述式問題が1題)の配点は、公開されていません。
例えば、次の「模範解答」のイメージのように、1問4択の問題の場合はその肢ごとに配点がもらえたり、穴埋め問題はその穴ごとに配点がもらえる問題もあります。
模範解答
「論述式問題」は、300文字程度で記載しますが、配点が高めです(おそらく20点)。
論述式問題は、総合的に判断され、完璧に300文字書けなくても、論点のポイントを抑えていれば部分点がもらえます。
合格基準
合格基準は「6割が正答できれば合格」できます。
相対評価(上位15%,上位30%など)の試験ではなく、絶対評価の試験のため「60点取れば合格」です。
試験時間
試験時間は、120分です。
60分経過すると途中退室が可能になります。
120分フルに使うことなく、解き終える方がほとんどだと思います。
(ねばっている方は、問題の見直しと、論述式問題の記述に時間を使っています。落ちたくないですからね)
合格発表
合格発表は、「11月」です。
2022年の場合は、11月9日になります。
下のFP協会の「1級FP技能検定 照会」より、自分の受験番号を入力して合否を確認できます。
「合格証書」は後日郵送され、A3用紙サイズ(A4用紙2枚分)で、かなりデカイです。
「採点用紙」も一緒に同封されてきます。
ここまで、試験の基本情報を解説しました。
ここからは、本題の試験対策を解説します。
合格に必要な勉強期間は、余裕をみて「1か月」必要
余裕をみて「1か月」必要
1級FPの実技試験は、9月上旬(9月11日前後)にあります。
8月上旬から勉強を開始しても十分 間に合います。
- 同年6月にCFP試験を受験した方
受験課目の知識が残っていますので、1か月あれば十分合格点に達します。
※同年5月に1級の学科試験を受験した方も同様です。 - 昨年11月にCFP試験を受験した方
知識が薄れかけていると思いますが、1か月あれば知識が復元され合格点に達します。
- 私の勉強期間は、1か月間でした。
8月1日から勉強を開始し、お盆休みを挟み、9月10日まで勉強しました。
(試験日は、9月11日) - 私の勉強時間は、60時間くらいでした。
その内訳は「平日に1.5時間」「休日に2時間~3時間」です。
CFP6月試験の合格判明から「1級FP 実技試験」までのスケジュール感
CFPの6月試験の合否が判明するのが7月20日前後ですから、7月末から勉強を開始できます。
ただし、CFP認定の申請手続きがあったり、お盆休みを挟みますので、実際のスケジュールは以下になります。
- ①7月20日前後:CFP全課目の合格が判明
- ②7月末まで :CFP認定の申請手続き(e-ラーニング研修の受講、実務経験の提出、証明写真(自己撮影可)の送付)
- ③8月1日から:「1級FP 実技試験」の勉強開始
- ④お盆休み :実家に帰省などで、3日ほど勉強できない。
- ⑤お盆明け :8月15日~9月11日の試験日まで本格的に勉強した。
※実質の勉強期間は1か月間でしたが、このスケジュールでも十分合格できます。
勉強は「緑本」でOK
「1級FP 実技試験」を勉強するには、通称「緑本」といわれる「1級FP 実技試験 過去問題集」を使って受験勉強することになります。
この「緑本」は、過去の出題傾向から出題頻度の高い問題が集められたもので、ほとんどすべての出題パターンが掲載されています。
本試験でも、大部分の問題がこのまま出題されると言っても過言ではないです。
また「緑本」に掲載されている過去問題は、法改正に対応していますので安心して勉強できます。
こちらから購入できます。
「緑本」を5周するのに必要な日数
「緑本」(1級FP 実技試験 過去問題集)を5周すると、ほぼ確実に合格できますが、
緑本を「5周するのに必要な日数」を記録していましたので公開いたします。
結論は、32日間で5周できました。(ちょうど1か月)
- 前提条件として、「平日は1.5時間」「週末は2時間~3時間」 勉強していました。
- 「緑本」の問題数は、「132問」です。
(問題数の内訳は、後述します)
詳細は、以下になります。
緑本を周回するのにかかった日数の内訳
- 1周目:8日
- 2周目:8日
- 3周目:6日
- 4周目:5日
- 5周目:5日
合計 32日間
緑本を5周するのに 32日かかりました。
問題数が「132問」と少ないので(「CFP精選過去問題集」の平均問題数「260問」の約半分)、初学の1周目でも1週間あれば1周を終えることができます。
4周目、5周目以降は、勉強の処理速度が上がり、わずか5日で周回できるようになりました。
私は、4周目を終えたところで合格点に達している手ごたえがありましたので、「5周すると、ほぼ合格確実」と考えています。
「緑本」の課目別の問題数と出題傾向
課目別の問題数
「緑本」の課目別の問題数は、以下になります。
課 目 | 問 題 数 |
---|---|
1.ライフ ・ライフプランニングと 資金計画編 ・社会保険編 | 34問 ・5問 ・29問 |
2.リスク ・生命保険編 ・損害保険編 ・保険税務編 | 17問 ・6問 ・6問 ・5問 |
3.金融 | 15問 |
4.タックス | 16問 |
5.不動産 | 10問 |
6.相続 | 20問 |
昨年の本試験問題 | 20問 |
合計 | 132問 |
論述式問題 | 8問収録 |
出題傾向
上表のように、次の課目の出題数が多い傾向に気がつきます。
- 「1.ライフ」:34問
- 「6.相続」:20問
- 「2.リスク」:17問
したがって、次の問題は毎回出題されます。
- 「1.ライフ」の「年金の計算」問題
- 「6.相続」の「法定相続分の計算」問題
- 「2.リスク」の「保険証券の読み取り」問題
確実に得点できるように十分に演習しておきましょう!
不安なら「2級の基本テキスト」と「CFP精選過去問題集」を補助的に用意する
「緑本」の解説だけでも合格できますが、
私は「2級の基本テキスト」や「CFP精選過去問題集」を手元に置き、その解説を見る場面がありました。
理由は、長く慣れ親しんだ「2級の基本テキスト」と「CFP精選過去問題集」は、
自分の書いたメモ書きがあったり、慣れていて見やすく、解法を確認する際に記憶の復元が速いからです。
それでも「緑本」の3周目あたりからは、問題や解答を覚えていきますから「緑本」の解説のみの学習になりました。
1級FP「論述式問題」の対策(自己採点で満点でした)
この「論述式問題」の対策が知りたい方が多いと思いますので、私が行った対策を解説いたします。
論述式問題は、実技試験の先頭から6問目あたり忍ばせてあります。
(解答用紙の裏面全体が「論述式問題」の記述欄になっています)
論述式問題は、300文字程度を記述する必要があり、問われている法律の「定義」や「FPの留意点」を記述することになります。
論述式問題の対策
「緑本」には論述式問題が「8題」が掲載されていますが、私は1か月ですべて暗記することが難しいと判断し、出題頻度が高そうな「5題」を取捨選択し、正確に暗記する作戦にしました。
出題頻度が高そうな5題を取捨選択した方法はこちらです。
(2022試験にて「税理士法」を見事に的中しました!下に記載)
昨年出題された問題や、過去に2回以上出題された問題は、出題頻度が低そうなので数回読んだのみです。
数回読みんだのみの問題は、次です。
数回読んだのみで,切り捨てた問題 | 出題年度 |
---|---|
「金融商品取引法」 | ・2008年 ・2009年出題 |
「個人情報保護法」 | ・2011年出題 |
「保険業法」 | ・2017年 ・2021年出題 |
必死で暗記した「出題頻度が高そうな5題」は、次です。
必死で暗記した「出題頻度が高そうな5題」 | 出題年度 |
---|---|
「金融ADR制度」 | 2012年出題 |
「著作権法」 | 2013年出題 |
「投資助言・代理業」 | 2016年出題 |
「税理士法」 ※的中! | 2019年出題 |
「消費者契約法」 | 2020年出題 |
この5題は徹底的に暗記しました。
論述式問題の暗記方法
- 始めに、それぞれの「要約」(一文で説明できる文章)を書き出します。
- 次に、覚えにくい数行の文章を「ゴロ合わせ」で覚えていきます。
- 最後に、ゴロから文章を起こせるようにします。
具体的に「金融ADR制度」の暗記は次のように覚えました
▼Q.金融ADR制度の定義は?
①「要約」一文で説明できる文章:
金融ADR制度とは,金融機関と利用者の間のトラブルを裁判以外の方法で解決を図る制度である。
▼Q.金融ADR制度の仕組みは?
②「覚えにくい数行の文章をゴロ」で覚える:
「ぎょ ふ べん く, もう ちゅう わ かい」(下の数行の文章のポイント [ ] をゴロで抜き出しています)
金融機関は[業]態別に,金融庁が指定・監督する[紛]争解決機関を設置しており,紛争解決委員である金融ADR機関に所属する[弁]護士など中立な専門家が,消費者からの[苦]情を受け付ける。
また紛争解決の[申]し立てを受けた場合は,紛争解決委員が[仲]裁を行い,[和]解案を示し,[解]決に努める。
③最終的に、ゴロから上の文章を起こせるようにします。
具体的に「著作権法」の暗記は次のように覚えました
▼Q.著作権法とは?
①「要約」一文で説明できる文章:
著作権法は、公表された著作物に対する著作者の権利保護を目的とする法律である。
▼Q.FPはどのような点に留意すべきか?
②「覚えにくい数行の文章はゴロ」で覚える:
「ひ か しゅじゅう ちょ しゅ」(下の数行の文章のポイント [ ] をゴロで抜き出しています)
「著作物を引用する場合は,次の点に留意する必要がある。
・引用が[必要不可欠]であること。
・引用する部分には[カギ括弧]をつけて引用すること。
・引用する著作物と自分の著作物の[主従関係]が明確であること。
・[著作者名]や[出典名・出所名]を明示すること。」
③最終的に、ゴロから上の文章を起こせるようにします。
具体的に「税理士法」の暗記は次のように覚えました
▼Q.税理士法の3つの事務とは?
①「要約」一文で説明できる文章:
税理士法では,他人の求めに応じ,税務代理行為,税務書類の作成,税務相談を業として行うことを税理士業務と規定している。
②「覚えにくい数行の文章はゴロ」で覚える:
「だい しょ そう き, はんぷく ゆうむ」(下の数行の文章のポイント [ ] をゴロで抜き出しています)
税理士法では,他人の求めに応じ,税務[代]理行為,税務[書]類の作成,税務[相]談を業として行うことを税理士業務と[規]定している。業として行うとは、税務代理、税務書類の作成、税務相談を[反復]継続して行い,[有償無償]の別は問わないとされている。
▼Q.どのような点に留意すべきか?
②「要約」一文で説明できる文章:
税理士資格を持たないFPが、納税義務の相談を受け、意見を述べ教示した場合、税理士法に抵触するおそれがある。したがって、相談内容を一般的な事例に置き換えるか、税理士に依頼するなどし、税理士法に抵触しないよう十分に留意する。
こんな感じですが、
ゴロの部分は覚えにくい部分、ゴロ合わせの区切りがいい所など、ご自身でカスタマイズしても構いません。
「要約」と「ゴロ」を決めたら、とにかく上の手順を繰り返します。
私は、1題あたり、30回以上は繰り返して覚えました。(今ではゴロから全文が頭の中で思い浮かびます)
2022年9月の論述式問題に「税理士法」が出題、見事的中!
2022年9月の論述式問題に「税理士法」が出題され、正確に記述することができ、満点を取れた感触がありました。
論述式問題の配点は20点だと思われ、他の問題が間違っていても論述式問題ができれば安心です。
試験当日の問題を解くおすすめの順番
試験当日、問題を解く順番はこちらがおすすめです。
- 「計算問題」もしくは「文章問題」
- 「新作問題」
- 「論述式問題」
それぞれを解説いたします。
①「計算問題」「文章問題」
「計算問題」「文章問題」に難問はありませんので、落ち着いて解けば1時間で解き終えます。
「緑本」にない(過去問に出ていない)、初見の問題も出題されますが、多くはありません。
(知らない問題が出ても焦らなくて大丈夫です。他の問題で60点にとどきます)
②「新作問題」
「新作問題」は、法改正(年金の繰り下げ、待機児童の育休の延長など)にちなんだ問題が出題される可能性が高いです。
初見でも、よく読むと解ける場合もあり、私はよく読むことで3問中2問を正答することができました。
知識だけを問われている場合は、時間をかけてもわかりませんので直感で解きましょう。
③「論述式問題」
「論述式問題」は、上の問題がすべて終わってから一番最後に解きます。
暗記した要点と、ゴロを思い浮かべ、徐々に文章に起こし記述していきましょう。
時間は たっぷりありますから、焦らなくても大丈夫です。
(CFP試験のように焦って涙目にならなくても大丈夫...)
ここまで「1級FP 実技試験」の受験対策を説明してきました。
ここまでの対策を実施すれば、ほぼ合格確実です。
ここから先の記事は「1級FP 実技試験」を受験するうえでのモチベーションアップにご活用いただきたく、試験当日の会場の雰囲気、1級FPの知識レベルや、取得のメリットを解説いたします。
1級FPを取得するとメリットが大きいですので、
CFP試験の合格者の方もぜひ、日本の国家資格の肩書を手にしてほしいと思います。
試験当日の会場の雰囲気・所感
・私は地方での受験でしたが、
試験当日はコンサートができるような大きなホールがFP試験のために貸切られており、
3級FP、2級FP、1級FPの試験がそのホールで一斉に実施されていました。
・「FP協会」だけでなく、「きんざい」のFP試験も行われていました。
- 1級の実技試験は、私を含めてわずか「18名」しかおらず、1級のレベルの高さをあらためて感じました。
(受験資格は、1級の学科試験の合格者と、CFP試験の全6課目の合格者のみです) - 1級の受験者層の年代は、40代(メイン層),50代、60代といったところでした。
- 1級の実技試験が開始した直後も、みなさん慌てる様子がなく、問題用紙の1ページ目にある「注意事項」を読むくらいの余裕がありました。(ここまでたどり着いた方は、努力を重ねた猛者ばかりですから)
- 受験テクニック面でも、みなさん難しい問題や、読解に時間がかかりそうな問題は飛ばし、解ける問題から解く技術が身に付いているようで、簡単な問題までページをめくる音が聞こえてきました。
私も、時間がかかりそうな「保険証券を読み取る」問題や「初見の法改正」の問題は、一番最後に解きました。 - 試験時間は120分で、60分を過ぎると退出可能になるのですが、60分で出ていった方は1名、80分で出ていった方が3名、100分で出ていった方が1名(私)でした。
他の7割の方は最後まで残っていました。
最後まで残っていた方は、問題の見直しと、論述式問題に時間をかけているようでした。 - 参考までに、私の「自己採点」の結果です。
※1級の実技試験は、全20問で「回答欄が40個」+「論述式1問」の構成です。
私は、「回答欄」と「論述式」の合計が「80%」の正答率でした。
CFPのような相対評価ではなく、絶対評価なので6割以上の正答率があると合格発表を待たなくても合否判断ができて良いです。
FPの級別の取得者数、級別の知識レベルの違い
参考までに、級別の「取得者数」と、級別の「知識レベル」の違いをまとめてみました。
FPの級別の「取得者数」(認定者数)の違い
以下は、FPの級別の取得者数(認定者数)の違いです。
級(グレード) | 取得者数(認定者数) |
---|---|
3級FP | 48万人 |
2級FP (AFP) | 49万人 (15万人) |
1級FP (CFP) | 2万人 (2万人) |
1級FPの取得者は少なく、あきらかに希少性、差別化といった観点でも強みがあります。
→ FP協会「FP技能士の取得者数」より
FPの級別の「知識レベル」の違い
FPは、年金・金融資産・不動産・税金・相続という幅広い分野について学習しますが、
級別の知識・スキルレベルに 次の違いがあります。
級(グレード) | 知識・スキルレベル |
---|---|
3級FP | さらっと「表面的な名称がわかる」レベル (例えるならTV番組の 「タイトルがわかる」レベル) |
2級FP (AFP) | 制度の「概略が説明できる」レベル (例えるならTV番組の内容を 「なんとなく知っている」レベル) |
↑ ここの差が大きい ↓ |
|
1級FP (CFP) | 自分で幅広い分野の「計算ができる」 レベルまで理解が進む (例えるならTV番組の解説者に 「ツッコミ」が入れられ、 自分なら「こう説明するのに」と 代替案を提案できるレベル) |
1級FP(CFP)から学ぶことができる知識や計算スキルは、各種所得、年金、保険、相続、不動産や株式の利回りなど、とても役に立ちます。
(独立する際にも、新規事業資金の調達や、確定申告の知識がありますから、スムーズに進みますね)
1級FPの取得のメリット
顧客からの視点の違い
- 顧客から信頼が得られる
2級FPやAFPと比べ、1級FPの難易度・資格の価値には大きな差があり、顧客の信頼度や安心感が増します。
名刺に「1級FP技能士」と書くと光ります。(一目おかれる可能性が高い) - 仕事が増える
1級FPは、すぐれたコンサルタントとして見られるため、コンサル業の仕事の紹介を受けやすくなります。
また、セミナー講師や、雑誌や経済誌のコラムの執筆依頼も増えます。 - 独立にも有利
独立開業する場合や、他の士業とのダブルライセンスなら1級FPの取得が有利です。
ex.社労士+1級FP、行政書士+1級FP、宅建士+1級FP など
「有名な資格」との立ち位置関係
有名な資格との立ち位置関係は、以下になります。
金融系(銀行,保険,証券会社)の業界では、資格が昇進の判断基準になっているところが多く、特に以下の資格のどれが2つを持っていると安心です。
この中に「1級FP技能士」も含まれています。
金融系(銀行,保険,証券会社)の業界で、次の2つの資格を持っていると安心
- 中小企業診断士
- 社労士(社会保険労務士)
- 日商簿記検定試験1級
- 1級FP技能士
- 証券アナリスト
- 行政書士
- 宅地建物取引士
- TOEICテスト (700点)
※友人が銀行・保険会社で働いていますが、やはり1級FPとCFPの試験を受験しています。
一般の方の資格の評価
金融以外の業界でも、転職・独立・キャリアアップなど、目的に合わせて上の資格のいずれかが2つあると強いですね。
- 一般的には、難易度や偏差値にはうとく、知名度が重視されますので「ぱっと聞いて有名」な資格が評価されやすい
ex. 社労士、中小企業診断士、行政書士、宅取士 は有名 - また、名称に「1級」(いち)が付くとわかりやすく、評価されやすい
ex. 簿記1級、英検1級、1級FP は わかりやすい
こちらのサイト「資格の取り方」さんでも、「1級FP」は おすすめ度が最上級の「横綱クラス」に認定されています。
多くの方が、1級FPの肩書が欲しくて、ここまで長い努力を続けてきたはずです。
1級FPの実技試験を突破し、有終の美を飾りましょう。
今回は「1級FP実技試験の難易度や勉強方法」を解説してきました。
1級FP実技試験も大切ですが、まだCFP試験に合格していない方は「CFP試験の勉強方法」はさらに重要です。
以下の記事では「CFPを独学で合格する勉強方法」について解説していますので、こちらの記事も ぜひあわせて読んでみてください。
関連記事
購入リンク:「緑本」(1級FP「実技試験」過去問題集)
「緑本」(1級FP「実技試験」過去問題集)がなければ始まりません。
こちらから購入できます。
CFPが独学で合格する勉強方法を完全解説【合格後の未来】
リベンジ組の方や、初学者の方を対象に、私が独学で合格した勉強方法・手順を解説した記事です。
ぜひ、お読みください。
→ CFPが独学で合格する勉強方法を完全解説【合格後の未来】
-
参考CFPが独学で合格する勉強方法を完全解説【合格後の未来】
続きを見る
CFPと宅建の合格者が難易度を比較【実体験より】
CFP と 宅建 の合格者が「問題自体の難しさ」「試験範囲の広さ」「合格まで必要な勉強時間」「合格率」「偏差値」を解説しています。この記事を読むことで、CFPと宅建の難易度が具体的に確認できます。
-
参考CFPと宅建の合格者が難易度を比較【実体験より】
続きを見る
働きながらCFPと宅建を同時合格した体験記【4年の勉強から得たもの】(前編)
・働きながら、家事をこなしながら、育児をしながら、不合格でも努力を続けました。
・「CFP全6課目」に合格し、同年に「宅建」にも合格できた4年間の実体験をお伝えします。
→ 働きながらCFPと宅建を同時合格した体験記【4年の勉強から得たもの】(前編)
-
参考働きながらCFPと宅建に同時合格した体験記【4年の勉強から得たもの】(前編)
続きを見る